民主党の年金改革案についてのポイントメモ 
   
 1.なぜ年金制度を変える必要があるのか。
 ・  国民は年金制度に大きな疑問と不信。昨年度では約40%の人が国民年金の保険料を未納付。
 ・  現行制度を維持すると、厚生年金保険料率が30%を超え、基礎年金保険料も月3万円近くに。国民負担率が50%を遙かに上回り生活を圧迫、年金制度自体も存続が困難となる。
   
 2. 民主党案は 
・  まずは、5年で基礎年金国庫負担率を引き上げる。(1/3⇒1/2)
・   将来は、国民年金、厚生年金、共済年金とバラバラになっている年金制度を一本化。その上で、「2階建て」の年金制
・   1階部分(=国民基礎年金)は財源を全て税で賄い、最低限の年金額を保証
・   2階部分は、所得比例年金。現役時代に所得に応じて年金保険料を支払い、支払った保険料に応じた年金額を受給できる制度。「受益と負担」の関係が明確になり信頼感が高まる.。
   
 3.国民基礎年金部分の財源は 
 ・   当面の基礎年金国庫負担率引き上げ(1/3⇒1/2)は、税金の使い道を抜本的に改めることによって、5年程度をかけて実現。
・   基礎年金の全額税方式の実現へ向け、将来的には、デフレ克服と安定的な経済成長が実現した後に、消費税の目的税化等について具体的な検討を開始。
   
 4.受取額は 
 ・   年金の総受給額を現役時代の所得の55%程度になるように制度設計をめざす。
   
 5. 民主党案では、既に受給している高齢者の年金は減るか
 ・   既に受給が始まっている年金については、現在の水準を維持。
 ・   まだ年金受給年齢に達していない方々に対しても、既に支払った年金保険料に対応する部分については、現在の年金水準を維持。
   
 6.政府・与党との違い 
・   年金制度がこのままでは維持できないことが国民的な合意をなっている中で、来年には5年おきの年金見直しの時期を迎える。このような時期に総選挙を行う以上、明確に年金制度の改革の方向性を示すことが責任ある政党の責務。これを果たさず、選挙が終わってから官僚の作ったお手盛り改革案を実施しようとするなら、それは民意を反映した改革とは言えない。
 ・   坂口厚労相の私案は厚生労働省の案ですらない。一方では財務省も年金改革案を示したいとしており、政府内の意見統一がなされていない。最も責任を負っている自民党は、政権政党として明確に年金の改革案を示し、国民の信を問う責務を放棄している。
・   なお坂口案では年金に対する信頼を回復できない。年金保険料率の上限を定めることが目玉となっているが、現行制度の微修正である以上、出生率の変化等によっては保険料率の引き上げと給付の削減という問題が再燃し得る。また、受給額も坂口案自体の試算ですら現役時代の所得に対して50%を割る事例を示している。
   
 


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