2014月定例市議会

 議案質疑

  平成26年6月10日(火)
 

 
 議案第2号
   議案第2号 
    市川市家庭的保育事業等の設置及び運営に関する基準を定める条例
   (1)  条例改正による効果について
   (2)  第7条 具体的内容について
   (3)  第30・32・35条 職員の配置について
 
[質疑要旨]
    「子どもの最善の利益」の実現される社会を目指し、平成27年度の本格施行を目途に本市でも議論を重ねてきている。今回の6月議会では2本の条例が上程されました。それを踏まえて以下のことをおうかがいします。

まず、「子どもの最善の利益」が実現されるための条例制定ですが、保育の質の向上も考えてのこととおもいます。それに対する市の見解をお答えください。

次に「連携」について記載がある7条について聞きます。市川市は家庭的保育は今まで先進的に展開してきていると思っていますが、家庭的保育事業者等と連携施設との連携協力についてはどのようすすめていくのかお聞きします。またそれを踏まえて、3歳未満児の代替については保育士要件が必要になってくるが、連携園が幼稚園の場合もあると思う。
そのあたりをしっかり条例に盛り込んでいくのか、またバックアップ体制も必要になるのではないかと思うが、どのような取り決めとするのかお聞きします。

次に小規模保育事業は職員資格により3類型に分かれているが市はそのことをどのように評価していますか。また今回は保育士の比率によって3つの型に分けられているが、より保育の質を上げる観点から見ると保育士割合を高めるためのインセンティブを設けるべきとの意見もあると思います。本条例を制定するにあたりその点の議論はされたのか、またどのように決めたのかお答えください。
 
[答弁要旨]
 平成24年8月に児童福祉法が改正され、地域の様々な状況に合わせて保育の質を確保するという趣旨のもと制度設計がなされています。本条例案は国基準を踏まえ作成したが、「子ども・子育て会議」で待機児童という観点だけでなく、保育の質の観点からも委員意見を反省しました。例えば小規模保育は保育資格は緩和しましたが、職員配置は認可保育所より多く配置しています。本市でも市川市子ども・子育て会議で基準を作成していますが「連携施設の確保のかかる書面締結義務」、「利用定員20人以上の事業所内保育事業にかかる乳児室の面積」は国を上回る基準としていて、「保育の質」の担保に留意しています。

7条の内容については、地域型保育事業の行う事業者が、連携協力を行なう保育所・幼稚園・認定子ども園のいずれかを連携施設として確保することを第1号から第3号で規定しています。
第1号は地域型保育事業を利用する子どもに集団保育を体験させる機会の設定など保育の質に関する支援です。

第2号は必要に応じた代替保育の提供です。
その中で、連携施設が幼稚園であった場合は、本状例の基準では3歳未満児の保育については事業ごとの差はあるが保育士または必要な研修を受けた方としています。本条例案では職員資格までは定めていませんが、保育士または必要な研修を受講し認定を受けた方が適切と考えています。全国的に幼稚園教諭のうち約75%が保育士資格も所有しているという調査結果も出ているので、厳しい基準とはならないと考えています。

第3号は地域型保育事業の保育の提供の終了後の連携施設における受け入れです。これらについて7条で規定をしています。

次に職員配置についてです。
小規模保育事業については、ご指摘の通り、職員資格の違いによって3類型に分かれています。C型は家庭的保育者のグループ化、A型は全員が保育士資格があるもの、B型は半数以上保育士がいるものとなっていて、本市ではA型のほうが「保育の質」の担保という点で望ましいと考えています。その上で、保育士割合を3分の2まで引き上げるべきというご意見があった一方で国基準どおりでよいとの意見も出され、結果として国基準どおり、2分の1が妥当との結論を答申でいただきました。インセンティブとしては公定価格において、B型よりA型の方が高く設定されていて、B型についても保育士比率が4分の3以上になった場合、「保育士比率向上価格」が設けられています。今後はB型事業者が出てくる場合、公定価格上のメリットを伝えることにより、A型への移行を働きかけていきたいと考えています。

 
 議案第3号 
   
 議案第3号  市川市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運
 営に関する基準を定める条例の制定について
  (1) 第5条及び第28条 情報提供に関する考え方について
  (2) 第6条及び第39条 公平性をどう担保するのか
  (3) 第7条及び第40条 本市の実施責任と権限はどのようになるのか 
  (4) 第13条及び第43条 具体的な内容について
  (5) 第20条及び第46条 具体的な内容について
   
[質疑要旨]
    まず、(5)からお伺いします。この中の特に8号緊急時における対応方法と、9号非常災害対策、10号虐待の防止のための措置に関する事項の具体的な内容についてお答えください。
 
次に、(1)の公開すべき情報の内容、公開の方法についてはどのように行なっていくのか伺います。その上で、5条について「利用申し込み者に対し、運営規定の概要、職員の勤務体制等の重要事項を記載した文書を交付して説明を行なう」とありますが、本市としてはインセンティブとして職員の免許・資格の保有状況、常勤非常勤の別、経験年数・勤続年数、離職率なども記載、公表するお考えに至らなかったのか合わせて伺います。

(2)として公平性について伺います。ここでは、正当な理由がなければ拒んではならないことや、申し込み数がオーバーしたときの選考の仕方、特定教育・保育施設で適切な教育・保育ができないときの措置等について書かれていますがそれらをどのように行なって行くのかお聞きします。
加えて、特に1号認定のお子様の定員オーバーの際の選考方法について、預かる側、預かる側双方で公平性の見解に相違が出てくると思いますがその点の取り扱いについてお伺いします。公平性のもう1つは応諾義務についてです。例えば、障がい児の受け入れ拒否はあってはならないし、保育料の滞納があったりしても施設側が対処していかなければならないが、そのあたりの応諾義務について市はどのようになさるのか、利用者側にとっては平等に取り扱うことは徹底していくのは当然だが、一方で、施設側へのフォローといった部分については条例上では記載していないけれども、市として、どのように関っていくのかお伺いします。

そしてそれを踏まえて、(3)としての本市の実施責任と権限についてです。
7条・40条にあっせん・調整及び要請に対する協力が記載されています。
ここには本市が行なうあっせん・調整及び要請に対してできるだけ協力しなければならないとなっています。そこで市としては実施義務の担保についてはどのようにお考えなのかお伺いします。さらに先の(2)の質疑を踏まえて、立場の弱いお子様が様々な理由で入所できないということに絶対にならないように、同時に施設側にもフォローが必要な場合も出てくることも考えられる。そこで、市の裁量として実効あるものとして責務を果たしていくという考えがあると思うがその点どのような検討をされ、ご判断をされたのか伺います。

(4)として利用者負担の受領についお聞きします。13条・43条では一定の条件はありつつ、上乗せで徴収できることや実費徴収ができることが記載されていますが、市のご認識はどうなのかお伺いしたい。その上で、上乗せ徴収について「質の向上」を目的とすることによって、際限なく徴収が可能になり、低所得者排除の傾向にならないのか懸念されます。検討段階で上限を設定する等の議論はなかったのか伺います。同時に実費徴収についても「便宜に要すること」を理由として条例上では際限なく徴収することが可能ですが、その点どう扱うのか伺います。またそれを踏まえて、セイフティネット、救済方法についてのお考えをお聞かせください。
 
[答弁要旨]
    (5)の運営規定の、8号 緊急時における対応方法、9号 非常災害対策、10号 虐待の防止のための措置に関する事項の内容ですが、8号は子どもの体調急変、他必要時に保護者・医療機関への連絡を行なうなどの措置について。9号は非常災害に関る計画、関係機関への通知、連携体制の整備、職員への周知、定期的訓練実施を求めています。さらに衛生管理・感染症蔓延防止の必要性についても定めています。

10号は虐待防止の措置です。具体的に、・虐待を防止するための従業者に対する研修の実施、・利用者及びその家族からの苦情処理体制の整備、・虐待防止に関する責任者の選定及び措置等の実施が考えられ、施設は情報公表した上で、指導監督基準として継続的に遵守していく必要があります。

次に(1)の公開すべき情報の内容、公開の方法についてです。新制度では利用に際し、保護者に説明すべき情報の内容として、・提供する教育・保育の内容や、職員の職種及び内容等を定める運営規定の概要、・職員の勤務体制、・利用者負担、・その他利用申し込み者の教育・保育の選択に資すると認められる重要事項、をパンフレットや説明書等で説明し、保護者の同意を得る必要があります。また、保護者が希望の施設を選べるように、これら情報を施設の見やすい場所に掲示し、情報提供する必要があります。現行でもガイドラインはあるが、本条例で、より詳細な項目が規定し、義務化されています。本市のインセンティブとして、より詳しく項目を公表する考えについて、ご指摘の通り、職員の状況は重要な項目と考えています。この情報公表については県が職員の保有免許、資格、常勤非常勤の別、経験年数、勤続年数について公表する内容となっています。今後、項目や方法については国で検討されることになっています。

次に(2)の公平性の担保についてです。
ここでは正当な理由のない提供拒否の禁止として、・定員に空きがない場合、・定員を上回る利用の申し込みがあった場合、・その他特別な事情がある場合、となっていて、これ以外は申し込みを拒むことはできません。
特別な事情がある場合とはどういうことかというと、・特別な支援が必要な子どもの状況と・事業の受け入れ体制、・利用者負担の滞納との関係、・設置者・事業者による通園標準地域の設定との関係、・保護者とのトラブルとの関係、等で、今後国から示される予定になっています。
選考方法では、定員以上の申し込みがあった場合、2号、3号認定の子どもは市町村による利用調整、あっせんに応じることとなりますが、1号認定のこどもは、①抽選、②先着順、③建学の精神等設置者の理念に基づく選考方法等により選考を行なうことになっており、選考方法が公平な基準か十分な公平性を保障する必要があります。1号認定子どもの選考について、国の子ども子育て会議中でも議論が多く出されており、市でも慎重な対応が必要だと認識しています。今後、国の方針に注視しながら、適切な教育・保育を受けられない子どもが生じることがないように努めていきます。

原理・原則は本条例で規定されますが、運用面について今後国から方針が示されるので、本市もそれを基に検討していきたいと考えています。
さらに「正当な理由」にあたる範囲・内容についての考え方についても、例えば特別な配慮が必要な子どもなど、詳細な取り決めも今後の国の検討状況もありますが、施設側等や子どもの状況を鑑みながら情報提供・利用あっせん・要請に取組んでいきます。

次に(3)の本市の実施責任と権限についてです。新制度では市町村がその権限と責務を果すことにより、子どもが確実に教育・保育を受けられるように規定しています。施設・事業者は保護者から求めがあった場合やその他必要と認められる場合には利用のあっせん、要請にできる限り協力しなければならない義務があります。6条でも応諾義務の規定があるとおり、原則利用申請があった場合には拒むことはできません。さらに保育の必要な子どもについて契約による利用が著しく困難と市町村が判断した場合は施設に対して入所や利用の措置を行なうことができます。市は、正当な理由に該当しない理由での受け入れ拒否の発生しないように、運用上の対応を慎重に行なうと共に、虐待事例等には積極的に介入するなど、本条の効果が担保されるように努めたい。さらにあっせん、要請等に応じない施設・事業者への対応としては、本条は努力義務としていますが、実行性を担保できるよう、状況把握・確認を十分行ないながらあっせん、調整等を行なっていきます。

(4)の利用者負担の具体的内容については、まず、保育料があり、所得に応じた応能負担となっていて、国基準に基づき市が定める負担額をお支払いいただきます。それ以外に・制服等の被服費といった、日用品、文房具等の教育・保育に必要な物品に要する費用、・遠足やお泊まり会等に係る行事参加に要する費用、・食事の提供に要する費用、・通園バス等、施設に通う際に提供される便宜に要する費用、・その他必要な費用について、実費徴収を利用者に負担させることができます。上限をもうけることについては、市の子ども・子育て会議の中でも保育料実費徴収でまかない切れない部分についての懸念が意見されました。市としては上限は設けることはせず、書面同意が確実に行なわれたうえで、際限のない徴収がないように確認、指導、監督、を行なっていきます。

さらにそれ以外に教育・保育の質の向上を図る上で、特に必要と認められるもの、例えば、教員配置の充実や教員の確保、設備更新の前倒し、平均的な水準を超えた施設整備などに対し、上乗せ徴収することができます。徴収に当たっては書面で金銭の使途、理由について明らかにし、利用者に説明する必要があります。上乗せ徴収については書面同意を求めることとされ、利用者に過度な追加負担が生じないように規定が設けられています。項目の検討については本条の1号から4号の項目については適当と判断をしていますが、5号のその他の項目については、適した内容か過度な負担となっていないか運営規定の項目確認などで、実際の運用の中で十分精査していきます。
   

●まとめ 
 「子どもの最善の利益」を実現すると言う目的の上にこの制度が成立っていると認識しています。是非、家庭の経済状況に関らず、保護者が施設を選択できて、子どもが平等に教育や保育を受けられるように市が責任を持ってすすめていくべきと指摘をしておきます。


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